事例2026/9/18
静岡生まれ「命を守るカルタ」がカンボジアで防災授業に活用
結論(先に要点)
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、静岡で制作された「PEACE 防災カルタ」をカンボジアで活用した防災教育を実施しました。雨季の洪水被害が大きいカンボジアで、子どもたちが遊びながら災害時の行動を考える機会を提供。ルワンダに続く海外実践として、現地の状況に合わせた学びを展開し、日本の防災知識と現地の経験を循環させる「CoRe Loop」という教育モデルを推進しています。
この記事のポイント
- UNICEFの調査によると、カンボジアの子どもの約半数にあたる約220万人が河川洪水の高リスク地域で暮らしています。
- 洪水は教育、医療、交通、衛生、食料など、暮らしの多くの側面に連鎖的な被害をもたらすため、日頃からの備えが重要です。
- My Happy Village Cambodia Schoolで「PEACE 防災カルタ」の授業を実施。

静岡生まれ「命を守るカルタ」がカンボジアで防災授業に活用
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、2026年8月26日と28日にカンボジア王国シェムリアップ州で、「PEACE 防災カルタ」を使った防災教育を行いました。このカルタは、静岡県の高校生、小学生、留学生、外国籍市民などが制作したものです。
カンボジアにおける洪水の現状
カンボジアでは雨季にメコン川などの水位が上昇し、各地で洪水が発生します。これにより、学校への通学困難、安全な飲料水や衛生設備の不足による感染症リスクなど、生活に大きな影響が出ます。
- UNICEFの調査によると、カンボジアの子どもの約半数にあたる約220万人が河川洪水の高リスク地域で暮らしています。
- 洪水は教育、医療、交通、衛生、食料など、暮らしの多くの側面に連鎖的な被害をもたらすため、日頃からの備えが重要です。
「PEACE 防災カルタ」を活用した授業内容
なかよし学園は、カルタを通じて子どもたちが「自分たちの地域で何が起こるのか」「その時どう行動すれば命を守れるのか」を自ら考える授業を実施しました。
■8月26日:学校での学び
- My Happy Village Cambodia Schoolで「PEACE 防災カルタ」の授業を実施。
- 避難、飲料水、非常用品、火災、家族との連絡などに関する絵札を使用し、子どもたちが読み札の内容を聞き、対応する絵札を探しました。
- ただ札を取るだけでなく、「なぜ水を備えるのか」「道路が通れなくなったらどこへ行くのか」といった問いかけを通じて、具体的な行動を考えさせました。
- このカルタには、ふじのくに未来財団「静岡トヨタ自動車 ハイブリッド基金」の助成により、浜松・静岡で制作された札が含まれています。
■8月28日:地域での学び
- 現地パートナー団体の近隣に住む子どもたちを対象に地域で防災授業を実施。
- 学校だけでなく、自宅や移動中など様々な状況を想定し、日常生活に結び付けて防災行動を確認しました。
- 色鉛筆などで自分の考えを絵に描く時間も設け、子どもたちが学んだことを家庭へ持ち帰り、家族や地域で防災意識を高めることを目指しました。
言葉や識字力を超える「絵と遊び」の力
防災カルタは、文字に頼らず絵で状況を想像できるため、言語や識字力の違いがある子どもたちにも効果的な教材です。
- 絵を見る、読み札を聞く、札を探す、取るという複数の方法で参加できます。
- 遊びの形式が子どもたちの緊張を和らげ、好奇心を引き出し、自ら考え学ぶきっかけとなります。
地雷リスク教育との共通点
なかよし学園のカンボジアプロジェクトでは、地雷原周辺での爆発性兵器リスク教育(EORE)も実施しました。
- 地雷と洪水は異なる危険ですが、「危険を知る」「判断する」「行動する」という命を守るための基本的な考え方は共通しています。
- 子どもたちが恐怖を感じるだけでなく、状況を理解し、自分で判断し、周囲と協力して行動する力を育むことを目的としています。
「CoRe Loop」教育モデルの推進
なかよし学園は「つくる・届ける・学び合う・還す」の循環型教育モデル「CoRe Loop」を展開しています。
- つくる: 静岡で防災カルタを制作。
- 届ける: カンボジアの学校と地域で防災授業を実施。
- 学び合う: 日本の防災知識とカンボジアの経験を組み合わせ、地域に必要な備えを考える。
- 還す: 現地での活動で得られた知見を静岡にフィードバックし、今後の防災学習や教材改善に役立てる。
この活動を通じて、ルワンダやカンボジアなど地域ごとの異なる災害経験から学び、世界の知恵を日本の地域防災へ、日本の学びを世界の命を守る行動へとつなげる国際的な学び合いが続いています。
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