終戦81年、日本とルワンダの記憶を「世界で行動する平和」へ
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトが、終戦81年を迎える2026年8月15日、ルワンダ共和国のAegis Trust CEOと面会。日本の平和教育を「願う」ことから「つくる」行動へ移行させる実践として、広島や奈良広陵町の児童生徒が制作した平和関連の作品や教材を紹介しました。ジェノサイドを生き延びたAegis TrustのCEOが日本の折り鶴を折り、これが日本へ還ることで、相互に学び合う「CoRe Loop」という循環型平和構築モデルを推進し、南スーダンやシリアなど世界10カ国での平和活動につなげることを目指しています。
この記事のポイント
- 広島市立広島特別支援学校の作品: 生徒が制作した平和ポスター「FOREST OF HOPE」やハンカチ。
- 奈良県広陵町の作品: 「広陵くつした」と靴下端材から生まれた「靴下折り紙」、広陵町立真美ヶ丘第一小学校の児童が制作したペットボトルホルダー。
- Create(創造): 地域や教科の学びから教材・作品を作る。

終戦81年、日本とルワンダの記憶を「世界で行動する平和」へ
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(以下、なかよし学園)は、2026年8月7日にルワンダ共和国のキガリ・ジェノサイド・メモリアルを訪問し、同施設を運営する国際非営利組織Aegis Trust(イージス・トラスト)のCEO、Freddy Mutanguha(フレディ・ムタングハ)氏と面会しました。日本が終戦から81年を迎える8月15日には、この訪問を通じて、平和を「願う」段階から、教育・対話・共創を通じて「つくる」段階へと踏み出す実践を発表しました。
面会で紹介された日本の取り組み
面会では、日本の以下の平和関連の取り組みが紹介されました。
- 広島市立広島特別支援学校の作品: 生徒が制作した平和ポスター「FOREST OF HOPE」やハンカチ。
- 奈良県広陵町の作品: 「広陵くつした」と靴下端材から生まれた「靴下折り紙」、広陵町立真美ヶ丘第一小学校の児童が制作したペットボトルホルダー。
特に、広島出身のなかよし学園事務局長中村里英氏が靴下折り紙で伝えた「折り鶴制作」は、Freddy氏も自ら鶴を折ることで、日本の地域から届いた素材が平和の象徴としてルワンダで新たな意味を持ち、再び日本へ還るという象徴的な出来事となりました。この循環は、子ども、学校、地域、国を越えた「CoRe Loop」(コレループ)という平和行動の第一歩と位置づけられています。
Aegis Trustとキガリ・ジェノサイド・メモリアル
Aegis Trustは、ジェノサイドや人道に対する犯罪を未然に防ぐ国際的な非営利組織です。記憶・研究・教育を通じて、憎悪や分断に強い社会を築くことを目指しています。
キガリ・ジェノサイド・メモリアルは、1994年の「ツチに対するジェノサイド」の犠牲者25万人以上が眠る追悼施設であり、学びの場でもあります。2023年にはユネスコ世界遺産に登録されました。Aegis Trustとルワンダ当局の協働で2004年に開館し、2008年から始まった「Peace and Values Education(平和と価値の教育)」は、ルワンダの学校教育課程に導入され、年間約250万人の児童生徒に影響を与えています。この施設は、犠牲者を悼むだけでなく、次の暴力を防ぐための教育・実践拠点として機能しています。
Freddy Mutanguha氏について
Freddy Mutanguha氏は、1994年のジェノサイドを生き延びた経験を持ち、現在はAegis TrustのCEOとして世界の平和教育を主導しています。彼は単なる追悼施設の運営責任者ではなく、ジェノサイド生存者、教育者、平和教育の実務家、そしてその経験を世界の紛争予防へ広げる国際組織の責任者という多岐にわたる役割を担っています。彼はルワンダで培われたジェノサイド予防と平和教育を、中央アフリカ共和国、南スーダン、ケニアなど世界各国に広める活動を行っています。
「CoRe Loop」モデルによる平和構築
なかよし学園が提唱する「CoRe Loop」は、一方的な支援ではなく、日本と世界の現場が相互に学び合う循環型モデルです。
- Create(創造): 地域や教科の学びから教材・作品を作る。
- Reach(到達): 海外の学校・地域へ届け、授業として実施する。
- Co-Reflect(共同考察): 現地の子ども・教師・地域と共に考える。
- Return & Redesign(還元と再設計): 現地の声や成果を日本へ還し、次の行動を再設計する。
このモデルを通じて、ルワンダで折り鶴が新たな意味を与えられて日本へ還ることは、「支援する側/される側」という固定観念を排し、互いの記憶と知恵で学び合う包摂的な平和構築を象徴しています。これは、学校から自治体、国境を越えた協働へと発展させる「草の根の多国間協力」の出発点となるものです。
世界10カ国での活動事例
なかよし学園は2013年から海外活動を開始し、世界10カ国で戦争を抑止する教育や地域づくりに取り組んでいます。教育だけでなく、食、保健・衛生、防災、仕事などと結びつけ、暴力の土壌を減らす活動を展開しています。
- 南スーダン: 戦闘や避難が続く地域で、基礎教育、識字、職業訓練、食料支援、マラリア対策、衛生教育を実施。日本郵便と長崎県壱岐市との連携で「なかよしふりかけ」による食糧支援も行いました。
- シリア: 「戦後80年の日本から、戦後0年のシリアへ」を掲げ、広島・長崎の教材、平和カルタ、折り鶴、科学・環境教材を活用し、教育を通じた社会再建を支援。
- コンゴ民主共和国: 元子ども兵の学び直しと職業訓練を支援し、彼らが「戦う側」から「地域を支える側」へ移行することを促進。
- その他: カンボジアでの地雷リスク教育、ウガンダの難民地域での学び直し、ネパールでの防災・科学・人権教育、東ティモールでの教育と雇用をつなぐ活動。
これらの活動は、戦争が起きてから支援するのではなく、「戦争を選ばなくてよい社会」を築くことを目指す「積極的平和構築」の一環です。
代表理事 中村雄一氏のコメント
中村雄一代表理事は、世界には今も戦火の中で暮らす人々がいると述べ、日本の終戦の日に考えるべき平和は、日本の過去だけでなく世界の現在とつながっていると強調しました。教育だけで銃声を止められない一方で、貧困、差別、孤立、憎悪によって暴力へ追い込まれる人を減らすことができると指摘しています。
Freddy氏が広陵町の素材で折った鶴が日本へ還ることは、日本がルワンダから平和のつくり方を学ぶという深い意味を持ちます。これは、かつて「支援される側」と見られた人が、別の誰かを支え、世界へ知恵を返すという「CoRe Loop」の本質であり、学校から地域へ、自治体から国境を越えた協働へと育てていくことが重要であると語りました。
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