事例2026/9/8
知財・無形資産を「稼ぐ力」へ変革:特許庁「知財経営」実践像を提示
結論(先に要点)
特許庁は、アーサー・ディ・リトル・ジャパンが実施した「令和7年度 知財経営に関する動向調査」報告書を公開しました。本報告書は、特許などの「権利」だけでなく、技術、ノウハウ、ブランド、人材といった広範な「知的資本」を経営戦略と結びつけ、企業の持続的な競争優位と企業価値向上を目指す「知財経営」の実践像を提示しています。知財経営は知財部門だけでなく、経営層・事業・R&Dを含む企業全体の組織能力として構築することの重要性を強調しています。
この記事のポイント
- 知的資本の範囲: 特許、技術、ノウハウ、データ、アルゴリズム、ブランド、人材・組織能力など、広範な無形資産を「知的資本」と定義。
- 経営への活用: これらを活用し、事業価値へ転換。得られた収益を次の知的資本への再投資へと循環させる経営活動。
- 顧客起点の思考: 「なぜ顧客は自社を選ぶのか」「競合が容易に模倣できないものは何か」を起点に、競争優位を支える知的資本を把握することが重要。

アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社(以下ADL)は、特許庁の委託を受けて実施した「令和7年度 知財経営に関する動向調査」報告書が公開されたことを発表しました。この報告書は、企業が知財・無形資産を「稼ぐ力」に変えるための具体的な実践像を示しています。
「知財経営」の考え方と実践の論点
本報告書で提唱される「知財経営」とは、知財や無形資産を単なる「権利」として捉えるのではなく、経営戦略や事業戦略と結びつけ、企業の持続的な競争優位や企業価値向上につなげるためのものです。
具体的には、以下のような「知的資本」を経営に活用する考え方と実践論点が示されています。
- 知的資本の範囲: 特許、技術、ノウハウ、データ、アルゴリズム、ブランド、人材・組織能力など、広範な無形資産を「知的資本」と定義。
- 経営への活用: これらを活用し、事業価値へ転換。得られた収益を次の知的資本への再投資へと循環させる経営活動。
- 顧客起点の思考: 「なぜ顧客は自社を選ぶのか」「競合が容易に模倣できないものは何か」を起点に、競争優位を支える知的資本を把握することが重要。
企業全体の組織能力としての「知財経営」
知財経営は、知財部門だけの活動ではなく、企業全体の組織能力として構築することが重要とされています。報告書では、以下の5つの実践方法と、それを支える6つの内部機能の設計が提示されています。
■5つの実践方法
- 知的資本の管理・運用
- 知財情報の分析・活用
- 開示・金融活用
- 流通・協業等による収益化
- 技術・製品開発の加速
■6つの内部機能
- 組織・機能設計
- ガバナンス
- 人材
- 社内プロセス
- 文化
- 資本・市場接続
また、資本市場とのコミュニケーションにおいては、保有特許数などの「量」だけでなく、「どこで競争優位を築き、何に投資し、それが事業成果にどう繋がるか」をストーリーとして示すことが、企業価値の適切な評価に繋がると提言されています。
調査概要
- 調査名: 令和7年度 知財経営に関する動向調査
- 発注者: 特許庁
- 調査実施: アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社
- 目的: 日本企業の持続的な成長と企業価値向上に繋がる知財経営のあり方を明確化し、その実践に必要な組織、機能、人材・教育等を整理すること。
参考リンク
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