事例2026/8/12
慢性腎臓病の新たな治療法に期待!体を“サビ”から守るタンパク質の重要性を発見
結論(先に要点)
岡山大学と東京大学医科学研究所の共同研究により、細胞を酸化ストレスから守るタンパク質「チオレドキシン」の働きが弱いと慢性腎臓病が進行することがラットを用いた研究で判明しました。このラットモデルでは、人の慢性腎臓病と同様に腎機能の低下、尿タンパク、高血圧、線維化、ミトコンドリア異常などが観察されました。本成果は、日本で成人の5人に1人が罹患するとされる慢性腎臓病の新しい治療法開発につながると期待されています。
この記事のポイント
- 酸化ストレスと腎臓病の関連: 酸化ストレスから体を守るタンパク質「チオレドキシン」の働きが弱いラットで、慢性腎臓病が進行することが確認されました。
- 病態の詳細: このラットの腎臓では、以下の症状が観察されました。
- ミトコンドリアの異常(細胞のエネルギー産生器官の機能不全)

研究概要
岡山大学と東京大学医科学研究所の研究グループは、体を酸化ストレス(細胞の“サビつき”)から守る役割を持つタンパク質「チオレドキシン」の機能が低下すると、慢性腎臓病が自然に進行することをラットを用いた実験で明らかにしました。
主な発見
- 酸化ストレスと腎臓病の関連: 酸化ストレスから体を守るタンパク質「チオレドキシン」の働きが弱いラットで、慢性腎臓病が進行することが確認されました。
- 病態の詳細: このラットの腎臓では、以下の症状が観察されました。
- ミトコンドリアの異常(細胞のエネルギー産生器官の機能不全)
- 細胞死
- 炎症
- 線維化
- 慢性腎臓病モデルとしての有用性: 今回見つかったラットは、人の慢性腎臓病に似た病態を示すため、慢性腎臓病の進行メカニズム解明や新しい治療法開発のための有効な動物モデルとなると期待されています。
研究の背景と意義
慢性腎臓病は、日本において成人の約5人に1人が罹患しているとされる身近な病気ですが、自覚症状がないまま進行し、最終的には透析や腎移植が必要となるケースもあります。本研究の成果は、「チオレドキシン」というタンパク質が腎臓の健康維持にいかに重要であるかを示しており、将来的には酸化ダメージやミトコンドリアを標的とした新たな治療法の開発に繋がる可能性があります。
発表論文
本研究成果は、2026年6月12日に国際的な科学誌『Translational Research』にオンライン掲載されました。
- 論文名: A novel spontaneous rat model of chronic kidney disease with mitochondrial dysfunction driven by thioredoxin insufficiency
- 著者: Iori K. Ohmori, Mamoru Ouchida, Yoshiko Hada, Haruhito A. Uchida, Shinya Toyokuni, Tomoji Mashimo.
- DOI: 10.1016/j.trsl.2026.06.003
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