「想像力は抑止力になる」長崎新聞の石畳広告に込めた平和への思い
長崎新聞が2020年から毎年掲載している「石畳」の新聞広告は、被爆の実相を伝えることで平和を訴える取り組みです。原爆の悲惨さを直視させる言葉を用いることで、読者に想像力を促し、「想像力が抑止力になる」というメッセージを伝えています。原爆を広告のテーマにすることにはタブー視される側面もありましたが、新聞の役割を問い直し、多くの協力者を得てこの企画が実現しました。戦後75年の2020年には、クリエイティブディレクターの鳥巣智行氏の協力を得て、本格的な広告企画として展開されています。
この記事のポイント
- 真っ黒に焦げた塊
- 体中に突き刺さるガラス片
- 骨組みだけになった路面電車の中でつり革を握ったまま死んだ人

長崎新聞の「石畳」広告が伝える被爆の記憶
長崎新聞は、最後の被爆地である長崎から、原爆の悲惨な実相と核兵器廃絶への願いを伝えるため、2020年から毎年新聞広告を掲載しています。この広告は、原爆投下直後の目を覆いたくなるような光景や被爆者の証言を具体的に描写することで、読者にその事実を「想像」させ、平和の尊さを深く訴えかけます。
広告に込められたメッセージ
長崎新聞の広告には、以下のような生々しい言葉が掲載されています。
- 真っ黒に焦げた塊
- 体中に突き刺さるガラス片
- 骨組みだけになった路面電車の中でつり革を握ったまま死んだ人
- 体からはげた皮膚がぶらぶらと垂れ下がり、飛び出した眼球を手で押さえている。「熱い、熱い」「水ば、水ば」とあえぎながら。
- 近くに転がっていた材木をかき集め、父の遺体を雨戸に乗せて燃やした。火葬が珍しかったのか、米兵がカメラで撮影していた。でも怒りすらわかなかった。
- 命を奪われた人たちは、逃げる時間も、さよならを言う時間も、ありませんでした。
これらの言葉は、原爆の悲惨さを「地獄」と表現する被爆者の言葉から来ており、「想像力が抑止力になる」という強いメッセージを伝えています。読者が81年前に何が起こったのかを想像し、今後どうすべきかを考えるきっかけとなることを願っています。
広告企画の背景と実現
原爆を広告のテーマにすることは、ビジネスに繋がるという懸念や、長崎にとっては「タブー」とされてきました。しかし、長崎新聞社東京支社長の福岡一磨氏(当時、営業局勤務)は、新聞が伝えられる限界や役割を問い直し、この企画の実現に向けて動きました。
- 2015年(戦後70年):初めて原爆に関する広告企画を実施。県民や著名人からの平和メッセージを7色の虹で表現する形式でした。
- 2020年(戦後75年):新たな広告企画を立ち上げ、重いテーマに向き合うため、長崎出身のクリエイティブディレクター鳥巣智行氏の協力を得て本格的に展開。営業職としての売上も意識しつつ、広告の力を通じてメッセージを伝える覚悟で取り組みました。
長崎新聞は、日々の紙面で原爆や被爆者の記事を掲載してきましたが、広告という形を用いることで、より多くの人々に深く、直接的に平和への思いを届けることを目指しています。
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