味の素「音でみるレシピ」がカンヌ受賞、『料理は見るもの』という常識を覆す
味の素は、視覚に頼らず誰もが料理を楽しめるよう、音声読み上げに最適化したレシピサイト「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」を2025年2月に開始しました。この取り組みは「料理は見るもの」という固定観念を覆し、料理におけるインクルーシビティ(包摂性)を高めることを目指しています。調理工程を音や触覚といった視覚以外の感覚で表現することで、視覚障害の有無に関わらず、すべての人が料理をより豊かに体験できる革新的なサービスとして、カンヌライオンズを含む複数の国際アワードを受賞しました。
この記事のポイント
- 食べものの声(Voice of Food): 料理そのものが持つ音、香り、触感などを伝えること。
- 視覚障害のある方々の声(Voice): これまで十分に伝えられていなかった「料理を楽しみたい」という思いや、レシピに潜む課題を社会に提起する意図。
- https://www.advertimes.com/20260731/article552608/

料理を誰もが楽しめる体験に
味の素は、料理のインクルーシビティ(包摂性)を高めることを目的として、2025年2月に「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」を開始しました。
従来のレシピは「きつね色になるまで」「透明になるまで」といった視覚的な表現が多く、目が見えることを前提としていました。そこで、視覚障害のある人もない人も関係なく料理を楽しめるよう、音声読み上げ機能に特化したレシピサイトを開発しました。
味の素コミュニケーションデザイン部の篠田大輔氏は、この企画の狙いについて「誰もが料理を別の感覚で楽しめる新しい体験を創出し、『料理は見るもの』という思い込みを変えること」と説明しています。このサービスは視覚障害者のみを対象としたものではなく、より広い層に向けた体験の変革を目指しています。
具体的には、レシピの工程を「ジュワジュワという音が少し落ち着いたら」「木べらで触れて軽く動くようになったら」など、視覚以外の頼りになる感覚に置き換えています。企画の初期段階から全盲の料理愛好家が検証に参加し、実践的なフィードバックを反映しました。このプロジェクトを通じて、料理は「見える人のためのもの」という考え方自体を変え、誰もが楽しめる体験であることを形にできた点が最も重要視されています。
「Voice」に込めた2つの意図
味の素は、「音でみるレシピ」をカンヌライオンズを含む7つの国際アワードに応募し、ADFEST、Spikes Asia、The One Showでシルバー、D&ADでグラファイトを受賞しました。この国際的な応募は、取り組みを世界に広める良い機会と捉えられました。
応募の際、プロジェクト名を「VOICE OF FOOD」に変更しました。篠田氏はその理由を「単に『音声レシピ』という機能だけでなく、このプロジェクトが社会にもたらした価値を伝えたかったから」と語っています。この名称には以下の2つの意味が込められています。
- 食べものの声(Voice of Food): 料理そのものが持つ音、香り、触感などを伝えること。
- 視覚障害のある方々の声(Voice): これまで十分に伝えられていなかった「料理を楽しみたい」という思いや、レシピに潜む課題を社会に提起する意図。
受賞の要因として、篠田氏は「応募時に『アクセシビリティ(利用しやすさ)の事例』として限定せず、一人の課題をきっかけに料理体験全体をより豊かにするイノベーションであると訴求したことが、共感を呼んだ」と分析しています。カンヌライオンズは単なる広告表現だけでなく、ブランドが社会課題にどう向き合い、変化を生み出したかが評価される場へと進化していると述べており、自社の事業を通じて社会に提供できる価値を世界と共有する貴重な機会であると考えています。
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