実例集一覧
売り方2026/9/9

企業AI活用の実態調査で「5つの壁」が判明、ナレッジ未整備が課題

結論(先に要点)

テクミラホールディングスの子会社であるネオス株式会社が実施した企業AI活用に関する実態調査により、導入が広がる一方で成果が出ない「AI格差」の実態が明らかになりました。この格差の主な原因は、社内ナレッジ(知識やノウハウ)が整備されていない点にあり、「形式知」「暗黙知」「再現性」「ガバナンス」「ROI(投資収益率)」という5つの構造的な壁が連鎖していると分析されています。AI活用を成功させるには、まず社内ナレッジの診断・棚卸しを行い、知識基盤を整えることが重要だと提言されています。

この記事のポイント

  • 導入は進むが活用は「浅い」: 生成AIの導入は広がっているものの、用途別に「活用が定着」しているのは平均でわずか8.5%にとどまります。特に、社内の知識を前提とする用途(例: 暗黙知の継承)ほど定着率が低い傾向にあります。
  • 6割超がノウハウを言語化できていない: 業務ノウハウや判断基準が「個人の頭の中」または「一部のみ言語化」されている企業が62.2%に上り、社内ナレッジの整備が進んでいません。
  • ナレッジ整理は7割近くが未完了: 社内ナレッジを体系的に整理・最新化できているのは14.2%のみで、65.4%の企業は「一部だけ」または「散在・未整理」の状態です。
企業AI活用の実態調査で「5つの壁」が判明、ナレッジ未整備が課題

企業のAI活用における「5つの壁」とナレッジ未整備の実態

テクミラホールディングスの子会社であるネオス株式会社が、全国の就業者500名を対象に「企業のAI活用に関する実態調査」を実施しました。この調査により、多くの企業で生成AIの導入は進んでいるものの、「ツールを導入しても成果が出ない」「効果を数字で示せない」といった課題に直面していることが判明しました。これらの課題は、AIツールの性能ではなく、社内ナレッジ(知識やノウハウ)の棚卸しが不十分であることに起因しています。

調査結果の主なポイント

企業における生成AIの活用実態を分析した結果、以下の5つの要点が明らかになりました。

  • 導入は進むが活用は「浅い」: 生成AIの導入は広がっているものの、用途別に「活用が定着」しているのは平均でわずか8.5%にとどまります。特に、社内の知識を前提とする用途(例: 暗黙知の継承)ほど定着率が低い傾向にあります。
  • 6割超がノウハウを言語化できていない: 業務ノウハウや判断基準が「個人の頭の中」または「一部のみ言語化」されている企業が62.2%に上り、社内ナレッジの整備が進んでいません。
  • ナレッジ整理は7割近くが未完了: 社内ナレッジを体系的に整理・最新化できているのは14.2%のみで、65.4%の企業は「一部だけ」または「散在・未整理」の状態です。
  • 未整備のまま高度な活用へ: ナレッジの整理が不十分なまま、48.4%の企業がより高度なAI活用へ進もうとしています。この順序の逆転が成果を妨げる要因となっています。
  • Shadow AIと形骸化: 社内で答えが得られないため、58.6%の社員が許可されていない外部AI(Shadow AI)を業務に利用しており、機密情報が流出するリスクがあります。一方で、導入したAIのROI(投資収益率)を明確に確認できている企業は11.8%にとどまり、AI活用が形骸化している現状が伺えます。

AI格差を生む「5つの壁」

上記の調査結果から、AI活用の成果を阻む「5つの壁」が連鎖していることが指摘されています。

  1. 形式知の壁: 会社のルールやマニュアルといった「文書化された知識」が、散在していたり古かったりして、AIが参照できる状態になっていない。
  2. 暗黙知の壁: 個人が持つ経験や勘といった「言語化されていない知識」が、共有されずに個人の頭の中に留まっている。
  3. 再現性の壁: 同じAIツールを使っても成果に3倍以上の差が生じるのは、参照できる社内ナレッジの差によるもので、誰でも同じ品質の成果を出せる「仕組み」が不在であること。
  4. ガバナンスの壁: 社内AIが未整備なため、社員が社外AIに機密情報を入力してしまう「Shadow AI」が常態化し、情報漏洩のリスクがあること。
  5. ROIの壁: AI導入による効果が測定できず、費用対効果が不明瞭なため、さらなる投資や活用拡大が進まないこと。

これらの壁は独立しているわけではなく、相互に影響し合っています。例えば、ナレッジが整理されていない(形式知・暗黙知の壁)ため再現性が低く(再現性の壁)、社内AIで答えが出せないために社員が社外AIに頼り(ガバナンスの壁)、結果としてROIが測定できない(ROIの壁)という悪循環が生じています。

成果に繋げるための提言

ネオス株式会社は、AI活用を成果に結びつけるために以下の3ステップを提言しています。

  • STEP 01|診断・棚卸し: 社内ナレッジと判断基準を言語化・構造化し、「会社の判断基準が形になる」ことを目指します。
  • STEP 02|基盤化・実証: 社内データに基づく回答生成(RAG)の仕組みを構築し、効果を測定することで「誰でも『会社の正解』を引ける」状態にします。
  • STEP 03|全社展開・エージェント化: 業務フローにAIを実装し、全社で共有することで「人が付加価値業務へ移る」ことを目指します。

この提言では、ナレッジの「棚卸し」を飛ばして高度なAI活用に進むことは、誤った判断基準が自動化・増幅されるリスクがあるため、「遠回りではなく、最短路である」と強調されています。

調査概要

  • 調査名: 企業のAI活用に関する実態調査(『企業AI白書 2026』)
  • 調査対象: 全国の就業者
  • 有効回答数: 500名(うち生成AI利用者 346名)
  • 設問数: 全28問
  • 調査手法: インターネット調査
  • 実施期間: 2026年7月
  • 調査主体: ネオス株式会社

参考リンク

参考リンク

運営者情報

藤ノ木洋史

藤ノ木 洋史

株式会社クリアナレッジ 代表取締役 / セールスライター

商品を変えずに「売り方」だけで売上を伸ばす仕組みを作ることを得意としています。

運営者プロフィールを見る