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売り方2026/7/26

介護業界のデジタル化(DX)からAI活用(AX)へ進展、効果実感は半数に留まる現状と国の推進策

結論(先に要点)

介護業界ではICT導入などのデジタル化(DX)が進む一方で、その効果を実感している事業所は約半数(49.4%)に留まっています。これは、デジタル化が記録や情報共有の基盤を築くものの、実際の「実行」は依然として人に依存しているためです。しかし、AIが判断から実行までを担う「AX(AIトランスフォーメーション)」の段階へ移行することで、業務の作り替えと効率化が実現され、効果実感が高まるとされています。国も「生産性向上推進体制加算」の新設やAIケアプラン支援ソフトの補助対象化などでAXを後押ししており、今後、AXに取り組んだ事業者とそうでない事業者との間で経営上の差が拡大すると予測されます。

この記事のポイント

  • 生産性向上推進体制加算の新設(令和6年度改定):テクノロジー導入と業務改善の継続、成果報告をした事業所に加算が適用されます。これは「入れただけ」ではなく「成果を出す」ことを重視するものです。
  • 介護テクノロジー利用の重点分野拡充(令和6年6月):移乗支援や排泄支援に加え、機能訓練支援、食事栄養管理支援、認知症ケア支援などが新たに追加され、項目が9分野16項目に広がりました。
  • AIケアプラン原案作成支援ソフトも対象経費に:介護テクノロジー導入支援事業において、都道府県の実施要綱によりAIケアプラン原案作成支援ソフトが補助の対象となりました。これは、デジタル機器の導入だけでなく、AIを活用した業務支援まで補助対象が広がったことを意味します。
介護業界のデジタル化(DX)からAI活用(AX)へ進展、効果実感は半数に留まる現状と国の推進策

DX(デジタル化)からAX(AIトランスフォーメーション)へ

介護業界では、ICT機器の導入によるデジタル化(DX)が進んでいます。公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度介護労働実態調査」によると、ケア記録などのICT機能を利用している事業所は75.4%に達しています。しかし、その効果を実感している事業所は、昼間の業務負担軽減で49.4%、夜間では44.6%と、半数程度に留まっているのが現状です。

DXは、紙ベースの作業をデジタルに置き換え、記録・情報共有の基盤を作る構造的な変化を指します。これは大きな前進ですが、入力や確認、転記といった「実行」の多くはまだ人が担うため、効果実感に限界があります。

一方、「AX(AIトランスフォーメーション)」は、DXによって作られたデジタル基盤の上に、AIが「判断」と「実行」までを担う段階です。AIが記録・計画・報告といったアウトプットの作成を下書き・実行することで、人は確認と判断に集中できるようになります。これにより、DXよりも効果を実感しやすくなると考えられています。

なぜAXが求められるのか:介護業界の現状と国の後押し

AIによる業務の作り替え(AX)は、人手不足が深刻な介護業界において特に重要です。総務省の令和7年版情報通信白書によれば、多くの企業が生成AIを人手不足対策や業務効率化に活用しており、その目的は介護業界にも共通します。

現在の介護業界では、要介護認定者が約690万人(令和4年5月時点)いる一方で、2026年度には介護職員が約25万人不足すると予測されています。また、従業員の65.2%が人員不足を感じ、39.1%が充分な賃金を払えないと感じています(令和6年度介護労働実態調査)。

このような状況は、単にデジタル化を進めるだけでは解決が難しく、AIによる業務の作り替え(AX)が不可欠です。時間のかかる記録、計画、報告といった業務をAIが下書きし、専門職が確認・承認することで、業務効率が大幅に向上すると期待されています。

国もAXへの移行を具体策で後押ししています。

  • 生産性向上推進体制加算の新設(令和6年度改定):テクノロジー導入と業務改善の継続、成果報告をした事業所に加算が適用されます。これは「入れただけ」ではなく「成果を出す」ことを重視するものです。
  • 介護テクノロジー利用の重点分野拡充(令和6年6月):移乗支援や排泄支援に加え、機能訓練支援、食事栄養管理支援、認知症ケア支援などが新たに追加され、項目が9分野16項目に広がりました。
  • AIケアプラン原案作成支援ソフトも対象経費に:介護テクノロジー導入支援事業において、都道府県の実施要綱によりAIケアプラン原案作成支援ソフトが補助の対象となりました。これは、デジタル機器の導入だけでなく、AIを活用した業務支援まで補助対象が広がったことを意味します。

すでに現れ始めている「AXによる差」

AXに先行して取り組む施設では、具体的な成果が出始めています。例えば、見守り機器を全床に導入した施設では、夜勤職員1人あたりの対応利用者数が平均35.2%増加したという検証結果があります(厚生労働省の生産性向上の効果測定・実証)。また、取り組みが進んだ事業所では、人員配置基準の特例的な柔軟化が認められ、経営上の選択肢も広がっています。

これは、テクノロジーやAIを「導入したか」だけでなく、「業務そのものを作り替え、成果を出せたか(AX)」によって、事業所間の差が明確に現れてきていることを示しています。人手不足が深刻化する日本において、この差は今後の経営に大きな影響を及ぼすと予想されます。

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藤ノ木洋史

藤ノ木 洋史

株式会社クリアナレッジ 代表取締役 / セールスライター

商品を変えずに「売り方」だけで売上を伸ばす仕組みを作ることを得意としています。

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