売り方2026/7/24
事例から学ぶ「課題解決型営業」の定着化メソッド:博報堂奥山氏が解説
結論(先に要点)
多くの企業が「課題解決型営業」の導入に苦戦する中、その定着化には「組織の文化」「マネジメント」「営業のスキル」の3つの壁が存在します。特に、営業にとって「やらされ仕事」になりがちな現状を打破し、成功体験を積ませることが重要。座学だけでなく、実践的なOJT型メンタリングやビジュアル化された羅針盤の提示、マネジメント層への支援を通じて、課題解決型提案を組織に根付かせることができます。これにより、ある金融A社では課題解決型提案・受注数が3倍に増加し、大型案件の比率も25%上昇しました。
この記事のポイント
- 時間・スキル不足: 顧客課題の特定と解決策の実行に、時間とスキルが足りないと感じている。
- 楽な方法への回帰: 商材カタログを紹介する方が手間がかからず楽だと考えている。
- KPIとの乖離: 課題解決提案が自身のKPI(重要業績評価指標)に直結しないと感じている。

事例から考える「課題解決型営業」の定着化メソッド
多くの営業組織が「課題解決型営業」への移行を目指していますが、その定着には課題が山積しています。本記事では、課題解決型営業が定着しない原因と、その定着化に向けた具体的なメソッドを解説します。
「課題解決型営業が定着しない」A社の事例
金融A社では、課題解決型営業の育成を目指して2年間研修を実施しましたが、「モノ売り営業」から脱却できずにいました。営業担当者へのインタビューから、以下の課題が明らかになりました。
- 時間・スキル不足: 顧客課題の特定と解決策の実行に、時間とスキルが足りないと感じている。
- 楽な方法への回帰: 商材カタログを紹介する方が手間がかからず楽だと考えている。
- KPIとの乖離: 課題解決提案が自身のKPI(重要業績評価指標)に直結しないと感じている。
この状況に対し、筆者は「営業にとって課題解決型営業は『やらされ仕事』であり、成功体験が醸成されていない」と提言。マネジメント層も取り組みの意義や方法を理解しきれていないことが問題でした。
■A社での定着化への取り組み
A社では以下の取り組みを実施しました。
- 研修内容の改善: 理論だけでなく、実践的なロールプレイングやマインドセット変革を含む体験型研修を導入。
- 方向性の可視化: 営業組織が目指すべき方向性や提供すべき価値を「羅針盤」としてビジュアル化し提示。
- OJT型1on1メンタリング: 選抜された営業へコンサルタントが伴走し、課題解決型提案の作成・実行を支援。
- マネジメント支援: マネジメント向け説明会や課題解決提案のチェックリストを作成し、マネジメント層の理解と支援体制を強化。
■取り組みの成果
これらの取り組みの結果、以下の成功を収めました。
- 課題解決型提案・受注数が前年比3倍に増加。
- 大型案件の比率も前年比25%上昇。
- 営業担当者や顧客から「こんな提案ができるんですね」という喜びの声が聞かれるようになり、課題解決型提案が組織に根付き始めました。
「課題解決型営業」が定着しない3つの理由
A社のように、多くの営業組織が課題解決型営業の定着に苦戦する本質的な原因は、主に以下の3点に集約されます。
- 組織の文化
- 「課題解決は手間がかかる」「モノ売りで十分」「自身のKPIに結びつかない」といった意識が蔓延している場合、課題解決型営業は浸透しません。
- 成功体験を積み重ね、営業・マネジメント層双方の意識変革を促すことが不可欠です。
- マネジメント
- 営業をサポートし、適切なアドバイスができるスキルやマインドがマネジメント層に不足していると、現場は孤立します。
- 課題解決型営業を促進するKPI(重要業績評価指標)の整備や、サポート体制(組織やツール)の構築も重要です。
- 現状では、マネジメントが整わないまま現場に「課題解決提案をせよ」と指示するケースが多く見られます。
- 営業のスキル
- 座学のみではスキルは身につきません。ロールプレイングなどの仮想的な場に加え、実顧客に対する「実戦」を通じてPDCA(計画・実行・評価・改善)を回す必要があります。
- 企業が抱える経営・事業レベルの課題分析方法を習得することも重要ですが、多くの企業が課題解決の方法論のみを研修しているのが実態です。
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