シチコリンが神経筋の連携を強化し運動機能ケアに新たな可能性を提示
キリンホールディングスは、神経と筋のつながり(神経筋接合部)に着目した研究で、シチコリンがこの接合部の形成を促進し、運動神経の活動同期性を向上させることを確認しました。これにより、加齢による運動機能低下だけでなく、スポーツにおけるパフォーマンス向上にも役立つ可能性が示されました。筋肉量だけではない「神経と筋の連携」という新たな視点から、運動機能の維持・向上に貢献することを目指します。
この記事のポイント
- NMJ形成への影響評価: マウス由来の筋芽細胞と運動ニューロン様細胞を共培養した神経筋モデル細胞を使用しました。シチコリンを添加し、NMJ形成に関わる遺伝子(Dok7、CHRNE)の発現解析と、NMJ形成の指標となるアセチルコリン受容体(AChR)クラスターの形成を評価しました。
- 神経活動への影響評価: iPS由来運動神経細胞を用い、シチコリンが神経活動に与える影響を微小電極アレイで評価しました。
- NMJ形成遺伝子発現の増加: シチコリンの添加により、NMJ形成に重要なDok7遺伝子とAChR構成遺伝子であるCHRNEの発現が有意に増加しました。

シチコリンが神経と筋の連携を強化する可能性
キリンホールディングス株式会社のヘルスサイエンス研究所は、運動機能に不可欠な神経と筋の連携部位である「神経筋接合部(NMJ)」に関する研究成果を発表しました。この研究により、シチコリンという成分がNMJの形成を促進し、さらに運動神経の同期的発火(複数の神経細胞が同時に活動する現象)を向上させることが確認されました。
研究の背景と目的
超高齢化社会において、加齢による運動機能の低下は大きな課題です。近年では、筋肉量が維持されても筋力が低下する「ダイナペニア」という現象が注目されており、その一因として運動神経と筋肉の連携機能の低下が指摘されています。NMJは、運動神経から筋肉への信号伝達において中心的な役割を担っており、その健全な維持が運動機能の質の向上に重要だと考えられています。これまで神経保護作用が報告されていたシチコリンが、このNMJにどのような影響を与えるかを検証することが本研究の目的でした。
研究方法
- NMJ形成への影響評価: マウス由来の筋芽細胞と運動ニューロン様細胞を共培養した神経筋モデル細胞を使用しました。シチコリンを添加し、NMJ形成に関わる遺伝子(Dok7、CHRNE)の発現解析と、NMJ形成の指標となるアセチルコリン受容体(AChR)クラスターの形成を評価しました。
- 神経活動への影響評価: iPS由来運動神経細胞を用い、シチコリンが神経活動に与える影響を微小電極アレイで評価しました。
研究結果
- NMJ形成遺伝子発現の増加: シチコリンの添加により、NMJ形成に重要なDok7遺伝子とAChR構成遺伝子であるCHRNEの発現が有意に増加しました。
- AChRクラスター形成の促進: 上記遺伝子発現の結果と一致し、シチコリン添加によりAChRクラスターの数、面積、強度が有意に増加しました。
- 運動神経の同期的発火の向上: シチコリン添加により、運動神経の活動同期性を示すSynchrony Indexが有意に向上しました。
得られた示唆と今後の展望
これらの結果から、シチコリンが運動神経から筋への信号伝達を担うNMJの形成を促進し、また運動神経の同期的発火を促進することが明らかになりました。これは、シチコリンが瞬発力や筋肉の協調性といった「動きの質」の向上に貢献する可能性を示唆しています。キリングループは、従来の筋肉量だけに着目するアプローチとは異なる「神経と筋の連携」という新たな視点から、運動機能の維持・向上、ひいては健康寿命の延伸とQOL向上に貢献するため、今後も研究を進めていくとしています。
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