コミュニケーション成功の鍵は「相手本位」:ゼクシィ広告に学ぶ「リボンのついたパス」
コミュニケーションにおいて、自分が伝えたいことを相手が受け取りやすい形で届ける「相手本位」の姿勢が重要です。これは「リボンのついたパス」と表現され、広告や政治、日常会話などあらゆる場面で相手の心を動かす鍵となります。例えば、ゼクシィの「結婚しなくても幸せになれるこの時代に 私は、あなたと結婚したいのです。」という広告は、結婚しない生き方も肯定しつつ、結婚の価値を伝えることで幅広い層に届き、分断を乗り越えた好事例です。相手の立場を理解し、共感を呼ぶ言葉を選ぶことが、効果的なコミュニケーションには不可欠です。
この記事のポイント
- コミュニケーションにおいて、自分が伝えたいことを相手が受け取りやすい形で届ける「相手本位」の姿勢が重要です。
- これは「リボンのついたパス」と表現され、広告や政治、日常会話などあらゆる場面で相手の心を動かす鍵となります。
- 例えば、ゼクシィの「結婚しなくても幸せになれるこの時代に 私は、あなたと結婚したいのです。

広告やコミュニケーションにおいて最も重要なのは、自分が伝えたい内容を、相手が最も受け取りやすい形で届ける「相手本位」の姿勢です。これは、サッカーの「リボンのついたパス」という表現に例えられます。単にボールを蹴るのではなく、受け手が最もプレーしやすいコースとスピードで、まるでプレゼントを手渡すようにパスを出す、という意味です。これは、自分が言いたいことを、相手が言ってほしい形で伝えるというコミュニケーションの基本に通じます。
自分本位ではなく相手本位に
多くの人は、自分が伝えたいことを中心に話してしまいがちです。しかし、コミュニケーションには必ず相手がいます。例えば、首相のSNS投稿が国民にどう届くかという視点が欠けていたために批判を浴びた事例や、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」という発言が高く評価された事例からわかるように、言葉の受け取り方は相手によって大きく変わります。
広告においても同様です。「この商品はこんなに素敵です」と一方的に訴えても、消費者は振り向きません。そうではなく、「この商品が、あなたにとってなぜ必要なのか」「このブランドがあなたの暮らしをどう良くするか」と、受け手のメリットを明確に伝えることが、効果的な広告コミュニケーションの基本的な技術となります。
リボンのパスで成功したゼクシィ
「リボンのついたパス」によって、社会の分断を乗り越え、コミュニケーションを成功させた好事例として、2017年のリクルート「ゼクシィ」の広告が挙げられます。博報堂の坂本美慧氏が手掛けた「結婚しなくても幸せになれるこの時代に 私は、あなたと結婚したいのです。」というコピーは、TCC最高新人賞を受賞しました。
この広告が発表された2017年前後は、「結婚はコスパが悪い」という考え方が広まり、結婚に対する価値観が多様化していました。従来の結婚情報誌が「古い価値観を押し付ける」と敬遠されかねない状況の中、ゼクシィはこの広告でまず「結婚しなくても幸せになれる」と、多様な生き方を肯定しました。これにより、結婚制度に疑問を持つ層にも言葉が届く土壌を作ったのです。
その上で、「私は、あなたと結婚したいのです」と続くことで、結婚の価値を伝えました。このメッセージは、「結婚したい派」と「しなくてもいい派」のどちらの考えも否定せず、結婚することの価値とゼクシィの姿勢を伝えることに成功しました。これは、受け手の状況や感情を深く理解し、共感を呼ぶ言葉を選んだ、まさに「リボンのついたパス」と言えるでしょう。
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