TikTok Shopが変革する「検索しないEC」 日本市場における成功戦略とは
TikTok Shopは、消費者が偶然動画で商品と出会う「ディスカバリーコマース」を拡大し、EC市場を大きく変えようとしています。従来の検索型ECとは異なり、動画の投稿数やライブ配信の頻度が売上を左右する「開拓型」ECです。日本の消費者は商品を発見してもすぐに購入せず、再検索や後からの検討を行う「検討併存型」の傾向があるため、ショート動画だけでなくライブ配信やショーケースを組み合わせた多角的なアプローチが重要です。TikTok Shopの売上は2026年に年間1000億〜2000億円規模に成長すると予測されており、他のECチャネルや実店舗の売上向上にも寄与する可能性を秘めています。
この記事のポイント
- 男性:検索エンジンなどで商品を再検索する人が46.2%
- 女性:投稿を保存して後から検討する人が37.3%
- 遭遇をつくるショート動画: 興味関心を引くきっかけを提供。

TikTok Shopは、2025年6月に日本でサービスを開始して以来、消費者の購買行動を「検索して買う」から「遭遇して買う」へと変化させる「ディスカバリーコマース」を推進しています。
国内ECトップ10に匹敵する成長予測
Hakuhodo DY ONEの推計によると、日本のTikTok Shopの流通総額は右肩上がりに拡大しており、2026年には年間1000億〜2000億円規模に達する見込みです。これは国内ECモールの中でもトップ10に入る規模であり、企業にとって無視できない販売チャネルとなりつつあります。
ただし、売上を最大化するには「商品とやり方」が重要です。アフィリエイターの活用人数、動画の投稿本数、ライブ配信回数が多いほど、売上や視聴状況が好調になる傾向が見られます。これは、従来のECが「ランキング型」の棚競争であるのに対し、TikTok Shopはコンテンツを通じて接触面を増やす「開拓型」であるためです。
日本市場特有の「検討併存型」購買行動
グローバルでは、動画を見て即購入する「即買い型」が多いTikTok Shopですが、日本の消費者は異なります。2026年の国内調査では、TikTokで商品を知った後、その場で即購入する割合は男女ともに約2割に留まります。
- 男性:検索エンジンなどで商品を再検索する人が46.2%
- 女性:投稿を保存して後から検討する人が37.3%
この傾向から、日本市場は即買い層と比較検討層が混在する「検討併存型」であると分析されています。そのため、TikTok Shopでは以下の要素を連動させる戦略が効果的です。
- 遭遇をつくるショート動画: 興味関心を引くきっかけを提供。
- 納得をつくるライブ配信: 商品の詳細説明や実演で理解を深める。
- 確認をつくるショーケース: 商品情報を一覧で確認できるようにする。
商材とターゲットに合わせた戦略の重要性
TikTok Shopの購買者層は、TikTokの視聴者層とは異なる場合があります。例えば、18~34歳の男性は視聴比率に対し購買比率が低い一方、35歳以上の女性は視聴比率に対し購買比率が高い傾向があります。そのため、「若年層向け」と決めつけず、実際の購買層に合わせて戦略を設計する必要があります。
また、商材によっても購入までの心理は異なります。
- 美容・コスメ: 使用者の声(アフィリエイト、UGC動画)やライブ配信での説明・実演が有効。
- ファッション: サイズ感や着回しなど、具体的な情報を伝えることが重要。
- デジタル機器・雑貨: 機能や使用場面での利便性を訴求。
- 食品・飲料: 調理や実食の動画によるシズル感で直感的な購入を促しやすい。
これらの特性を踏まえ、「生活者特性、商材、購入される面」を掛け合わせたプランニングが成功の鍵となります。
「広める動画」と「売る動画」の使い分け
TikTok Shopで売上を伸ばすためには、単に動画の量を増やすだけでなく、動画の役割を意識することが重要です。Hakuhodo DY ONEはショート動画を以下の2種類に分けています。
- 広める動画: あるあるネタやトレンドを取り入れ、再生数や反応を生み出すことで認知を拡大。
- 売る動画: 比較、レビュー、使用方法などを通じて商品理解を促し、購入につなげる。
まず「広める動画」で再生数を伸ばし、その後に「売る動画」への視聴を波及させることで購入に繋がり、アカウント全体の動画表示機会が増加する「Buzz Buy Spiral」という好循環が生まれます。ただし、大量のコンテンツ制作には、薬機法や誇大表現、ブランド表現などの社内規定をクリアするための体制整備も不可欠です。
TikTok Shopの売上は多角的に評価するべき
TikTok Shopの効果は、プラットフォーム内での直接的な売上だけでなく、他のECチャネルや実店舗への波及効果を含めて評価すべきです。海外事例では、TikTok Shop施策実施後に他のECチャネルの流通総額が18%〜25%増加したケースが報告されています。
国内でも、TikTok Shopでのアフィリエイト動画増加後に他のECモールでの指名キーワード検索順位が3倍に上昇したり、TikTok Shopへの広告予算シフトでEC全体の売上が130%に伸びたりした事例があります。店頭で「TikTokで見た」という声が増えるなど、実店舗への好影響も確認されており、TikTok Shopは「売る」だけでなく「知ってもらう」ための重要なチャネルとなっています。
参考リンク
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