売り方2026/8/7
Pre-IPO時代の新たな資本戦略:グロースエクイティとセカンダリー市場が拓く、スタートアップ成長の選択肢
結論(先に要点)
未上場企業の成長期間が長期化する中、スタートアップの新たな資金調達戦略として「グロースエクイティ」と「セカンダリー市場」が注目されています。グロースエクイティは、単なるIPO前の資金供給にとどまらず、企業が上場に耐えうる組織体制や成長モデルを構築するための戦略的資本として位置づけられます。また、セカンダリー市場は、初期投資家や従業員が株式を現金化し、エコシステム全体の資金循環を促進する役割を果たします。これらの新たな資本戦略は、日本のスタートアップエコシステムの発展に不可欠とされています。
この記事のポイント
- ExBorder Partnersのチャン氏: シリーズBからIPOまでの幅広い領域を対象とし、売上規模が5000万ドル(約78億円)前後から関心が高まります。市場において「唯一無二」または「数少ないトップ企業」であることが重要な判断基準です。
- Ode Growth Partnersの池田氏: 売上規模1000万ドル(約15.6億円)から1億5000万ドル(約234億円)の企業を検討対象とします。重要なのは、プロダクト・マーケット・フィット(PMF: 市場に受け入れられる製品を持っているか)、市場進出の再現性、そして持続可能な長期的成長を描けるかです。
- Keyrock Capital Managementの内河氏: 日本でも欧米と同様に、企業規模や売上を軸にPMFを見極めます。目安は売上700万ドル(約11億円)から1500万ドル(約24億円)程度です。ラウンド名(シリーズA、Bなど)よりも事業の成熟度やKPI(重要業績評価指標)の質が重要です。

グロースエクイティの役割と重要性
スタートアップの成長が長期化するにつれて、IPO(新規株式公開)前の資金調達手段として「グロースエクイティ」の重要性が増しています。グロースエクイティとは、成熟期にある未上場企業に対し、成長を加速させるための資金を提供する投資手法です。単に資金を提供するだけでなく、企業が上場市場で評価されるための組織体制、成長モデル、投資家との対話能力を強化する支援も含まれます。
■投資家の視点:企業選定の基準
- ExBorder Partnersのチャン氏: シリーズBからIPOまでの幅広い領域を対象とし、売上規模が5000万ドル(約78億円)前後から関心が高まります。市場において「唯一無二」または「数少ないトップ企業」であることが重要な判断基準です。
- Ode Growth Partnersの池田氏: 売上規模1000万ドル(約15.6億円)から1億5000万ドル(約234億円)の企業を検討対象とします。重要なのは、プロダクト・マーケット・フィット(PMF: 市場に受け入れられる製品を持っているか)、市場進出の再現性、そして持続可能な長期的成長を描けるかです。
- Keyrock Capital Managementの内河氏: 日本でも欧米と同様に、企業規模や売上を軸にPMFを見極めます。目安は売上700万ドル(約11億円)から1500万ドル(約24億円)程度です。ラウンド名(シリーズA、Bなど)よりも事業の成熟度やKPI(重要業績評価指標)の質が重要です。
IPO-readyの定義と「シリーズB後のデスバレー」
企業が「IPO-ready」、すなわち上場準備が整った状態とは、単に売上規模が大きいだけでなく、以下の要素が求められます。
- 適切なCFO(最高財務責任者)の存在
- 監査委員会やコーポレート・ガバナンス(企業統治)体制の整備
- IR(投資家向け広報)体制の構築
- 上場市場の投資家に自社の成長戦略を説得力をもって示し、継続的に対話できる体制
日本では、プレシード(創業前)からシリーズA(初期成長期)までは資金供給が活発ですが、シリーズB(中長期成長期)以降で資金と支援が薄くなる傾向があります。これを「シリーズB後のデスバレー(死の谷)」と呼び、グロースエクイティはこの谷を越えるための橋渡し役となります。
日本市場の強みとセカンダリー市場
■日本市場の可能性
- インフレとAI活用: Keyrock Capital Managementの内河氏は、日本のインフレを起点とした構造変化とAI活用が、スタートアップに新たな事業機会をもたらすと指摘します。
- 地域固有の強み: ExBorder Partnersのチャン氏は、日本のロボティクス、フィジカルAI、半導体、半導体製造装置といった分野に注目しています。長年の製造業の蓄積、エンジニアリング人材、大学・研究機関、既存産業の厚みが強みです。
- 官民連携の重要性: 資本集約的なディープテック(先端技術)領域では、公共セクターと民間セクターの連携がグローバル競争で勝ち抜くために不可欠です。
■セカンダリー市場の役割
「セカンダリー市場」とは、既存の株主が保有する未上場株式を、IPOを待たずに第三者に売却できる市場のことです。これにより、以下のメリットが生まれます。
- 既存株主の現金化: 企業が未上場のまま成長する期間が長くなることで、初期投資家や従業員が資金を回収する機会が増えます。
- 資金循環の促進: 現金化された資金が、次世代のスタートアップへのエンジェル投資や、新たなプライマリー投資に回ることで、エコシステム全体の資金循環が促進されます。
- 柔軟な株主構成: 企業は事業フェーズに合った株主構成へと移行しやすくなります。
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