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AI2026/8/17

NVIDIAとAWSが語るAI活用の次フェーズ:企業は「実験」から「大規模実装」へ移行

結論(先に要点)

AIの企業活用は初期の実験段階を終え、インフラ構築から実際のビジネスや社会で大規模に運用され、成果を生み出す段階へと移行しています。NVIDIAはAIを「5層のケーキ」で説明し、半導体だけでなくクラウドやアプリケーションの連携が重要だと強調。AWSは、人間の従業員のように継続的に価値を生む「AIエージェント」が最上位層とし、その管理プラットフォームの必要性を説いています。また、AIの価値の重心はインフラからアプリケーションへ移り、特に日本の産業用ロボティクスは「フィジカルAI」分野で強みを発揮する可能性を秘めています。

この記事のポイント

  • 物理インフラ: データセンターを構成する土地、電力、建屋など。
  • チップ・コンピューティング基盤: AIの計算を担う半導体やハードウェア。
  • AIモデル: AIの「頭脳」となる学習済みモデル。
NVIDIAとAWSが語るAI活用の次フェーズ:企業は「実験」から「大規模実装」へ移行

AI活用は「実験」から「大規模実装」へ

「SusHi Tech Tokyo 2026」で開催されたセッションでは、NVIDIA、Amazon Web Services(AWS)、Benhamou Global Venturesの3社が、AIの企業活用について議論しました。現在のAI活用は、初期の実験段階から、ビジネスや社会で大規模に運用され、具体的な成果を生み出す「実装フェーズ」に移行していると位置づけられています。

NVIDIAが示すAIの「5層のケーキ」

NVIDIAのハワード・ライト氏は、AIを支える構造を「5層のケーキ」に例えて説明しました。この階層構造は、AIスタックと呼ばれる考え方です。

  • 物理インフラ: データセンターを構成する土地、電力、建屋など。
  • チップ・コンピューティング基盤: AIの計算を担う半導体やハードウェア。
  • AIモデル: AIの「頭脳」となる学習済みモデル。
  • アプリケーション: 実際の業務やサービスでAIが使われる部分。

この比喩は、AIの社会実装が半導体単体で完結するものではなく、クラウド事業者、モデル開発企業、アプリケーション企業、スタートアップ、投資家など、多様なプレイヤーが連携して初めて価値が生まれることを示しています。NVIDIAは単なるチップセット企業ではなく、AIインフラ全体を支えるソリューション企業として、AWSを含む様々な企業と協働しているとライト氏は語りました。

AWSが重視する「AIエージェント」と「データ」

AWSのロブ・チュー氏は、NVIDIAのAIスタックを企業活用の視点から捉え直し、最上位に「AIエージェント」の層を置きました。AIエージェントとは、デジタルワーカーとして人間の従業員と協働し、企業のために価値を生み出す存在です。

  • AIエージェント: 会社にとって最も重要な層であり、デジタルワーカーとして価値を創出する。
  • 運用課題: エージェントの数が増えると、それらを統括・管理・進化させるプラットフォームが必要になる。
  • データとナレッジ: AIエージェントが企業ごとに異なる価値を生み出すためには、自社データや知識の活用が不可欠。

チュー氏は、AIエージェントを管理するための「AIエージェント・プラットフォーム」が、将来的に企業のHRシステムのように重要になると予測しています。

価値の重心は「アプリケーション」へ

Benhamou Global Venturesのエリック・ベナムー氏は、技術革新が「インフラ」「OS/ソフトウェア」「アプリケーション」の3つの波を経て広がると説明しました。AIにおいても、GPUやクラウド、モデルの競争が先行していますが、最終的に企業や社会が受け取る価値は、業務や顧客接点に組み込まれるアプリケーションを通じて現れると強調しています。

チュー氏も同様に、価値の重心が上位レイヤー(AIエージェントの大規模導入)へ移っていくと見ています。

日本にチャンスがある「フィジカルAI」

AIの実装が進む領域として、フィジカルAIが注目されています。フィジカルAIとは、物理環境を認識・判断し、現実世界に作用するAIシステムのことです。

  • 日本の強み: 日本は産業用ロボティクスの大規模展開実績があり、そこにAIを組み合わせることでフィジカルAI分野で強いポジションを築ける。
  • 社会課題との関連: 高齢化や労働力不足といった日本の社会課題が、フィジカルAI技術への需要を後押しする。

ベナムー氏は、AIでリサイクル対象物を識別しロボットを制御して分別する企業など、すでに現実世界と接続し成長しているフィジカルAIスタートアップの事例を紹介しました。

AIは「仕事を奪う」のではなく「仕事のやり方を変える」

AIが雇用に与える影響について、NVIDIAのライト氏は「AIが仕事を奪うのではなく、AIを理解し使いこなせる同僚が仕事を奪う可能性がある」というジェンスン・フアン氏の言葉を引用し、AIを人間の能力を拡張するツールとして活用することの重要性を説きました。これは、企業、創業者、投資家、従業員のすべてに関わる変化であると述べています。

日本はAIの「消費者」ではなく「創造者」に

日本がAI時代に果たす役割について、ライト氏とチュー氏は共に、日本がAIの「創造者」になり得るとの見方を示しました。

  • 日本の起業家精神と技術力: NVIDIAは日本で400社以上のスタートアップと関わり、サイバーセキュリティ、ヘルスケア、ライフサイエンスなどで素晴らしい取り組みが進んでいることを評価。
  • 産業基盤と現場力: 製造業などの産業の厚み、運用能力、品質へのこだわりは、AIを現実業務に落とし込む上で大きな武器となる。
  • 課題: 完璧主義に陥らず、早期に実装し本番環境での経験から学ぶこと、そしてグローバルなAI競争の中で孤立しないオープンなイノベーションが重要。

AIは技術論から経営論へ

セッションの最後に、チュー氏は「AIはもはや単なる技術ではなく、企業の業務運営や価値創出のあり方そのものに関わる経営テーマである」と締めくくりました。AIの次の競争軸は、モデル性能だけでなく、実装する力、運用する力、そして世界とつながる力に移りつつあることが強調されました。

参考リンク

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藤ノ木洋史

藤ノ木 洋史

株式会社クリアナレッジ 代表取締役 / セールスライター

商品を変えずに「売り方」だけで売上を伸ばす仕組みを作ることを得意としています。

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