AI推薦時代にブランドが選ばれるための「二つの関門」とは
AIが商品やサービスを数件に絞り込む時代において、ブランドはAIに推薦されるだけでなく、消費者に選ばれるための「二つの関門」をクリアする必要があります。第一の関門は「AIに正確に語られること」で、PAFEXと呼ばれる指標を用いてブランドの語られ方を把握し、信頼性の高い情報源を増やすことが重要です。第二の関門は「人の記憶に残ること」で、特定の状況でブランドを想起させる「記憶の空き地」を狙い、色や形、体験といった「ブランドコード」を設計することが求められます。AIと人の両方に響くブランド戦略の循環が成功の鍵となります。
この記事のポイント
- P (Presence): 候補率(想定した質問で自社名が出る割合)
- A (Accuracy): 正確性(事実や強みが正しく説明されるか)
- F (Framing): 語られ方(推薦理由が自社のありたい姿と一致するか)

生成AIが商品やサービスを数件に絞り込む時代において、ブランドが消費者に選ばれるためには、AIによる推薦だけでなく、人の記憶に残る工夫が必要です。XAホールディングスが開催したワークショップでは、AI時代のブランド実装に必要な「二つの関門」と視点が示されました。
第一の関門:AIに正確に語られること
AIは購買行動の入口となりつつあり、これまでの広告や検索による情報収集から、AIの推薦リスト(新しい棚)を基に選ぶ時代へと変化しています。しかし、AIの推薦はキーワードだけでなく、文脈、第三者の言及、利用者ごとの条件によって変動するため、従来のSEOだけでは不十分です。
■AIによる「語られ方」の把握と改善
XAホールディングス代表取締役CEOの河野貴伸氏は、AI上でのブランドの「語られ方」を把握するために、「PAFEX」という5つの診断プロンプトを提示しました。
- P (Presence): 候補率(想定した質問で自社名が出る割合)
- A (Accuracy): 正確性(事実や強みが正しく説明されるか)
- F (Framing): 語られ方(推薦理由が自社のありたい姿と一致するか)
- E (Evidence): 根拠(引用元が望ましい文脈や媒体か)
- X: 本音を引き出す敵対的な質問(過去の炎上や誤解など、表面に出にくい情報を引き出す)
「PAFE」の4指標は定点観測に用いられ、AIが参照するWeb検索結果や引用元を記録することで、改善すべき点が見えてきます。AIは特に専門性や信頼性を重視し、業界メディアや専門記事、公的情報を引用する傾向があるため、プレスリリースや第三者による言及を通じて、信頼性の高い情報源を増やすことが重要です。
第二の関門:人の記憶に残ること
AIが推薦したとしても、消費者が知らないブランドをすぐに購入するとは限りません。AI推薦後の最終的な購買判断には、「人の想起集合」、つまり特定の状況でブランドを思い出せるかどうかが影響します。
■「記憶の空き地」と「ブランドコード」の設計
- 記憶の空き地: 生活者が商品やサービスの利用を考え出すきっかけ(カテゴリーエントリーポイント)を具体化し、「金曜の夜、頑張った自分に飲むビール」のように、映像が浮かぶ粒度まで絞り込むことで、競合が占有していない「記憶の空き地」を狙います。
- ブランドコード: 色、言葉、形、音、接客の所作、開封体験など、名前を隠してもそのブランドだとわかる要素を棚卸しし、人の五感に直接作用する要素を設計します。情報が増え、AIの推薦が一般化するほど、これらの要素が重要になります。
ブランドコア・シートによる一貫した情報発信
企業内でブランドの認識がばらつくと、AIにとっても誤解の原因となります。これを防ぐため、「ブランドコア・シート」を作成し、経営陣、マーケティング、営業、店舗など全部門で参照する単一の情報源とします。
ブランドコア・シートの項目例
- 一文定義: 誰の、どの状況に、何を提供するカテゴリーか
- 提供価値: 顧客が得る価値
- 根拠・事実: 数字、受賞歴など引用可能な情報
- 想起句: ブランドを思い出してもらう短い言葉
- FAQ: 顧客がAIや検索で尋ねる質問と模範回答
- NG表現・誤解訂正: 避ける表現と、広がっている誤解への訂正
- 比較スタンス: どこで勝ち、どこは競合に譲るか
これにより、Webサイトの会社概要、FAQ、営業資料、プレスリリース、AI応答など、あらゆる接点で一貫した情報を発信し、人にもAIにも正確にブランドを理解させることができます。
AIと人の体験を循環させる
ブランドが成功するためには、「AIが抽出できる形」と「人の記憶に残る形」の二つのレンズで、Web・EC、店舗、SNSなどの接点を見直す必要があります。「語られない体験はAIには存在しない」ため、良い体験を生み出すだけでなく、顧客が言及し、第三者が言語化し、信頼できる情報として引用される循環を設計することが、AI推薦時代にブランドが選ばれるための鍵となります。
参考リンク
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